会社の解散・清算(12)

16 臨時株主総会開催、決算報告について承認を得る

会社法第507条第3項に、「清算人は、決算報告を株主総会に提出し、または提供し、その承認を受けなければならない。」とあり、また、登記法第 75条では「清算結了の登記の申請書には、会社法第507条第3項の規定による決算報告の承認があったことを証する書面を添付しなければならない。」とあります。

従って、残余財産の最終分配が済んだら遅滞なく株主総会を開催して承認を受けます。承認を受けた日が清算結了の日となります。

そして、決算報告を添付した株主総会議事録を作成します。

17 清算結了の登記

会社法第929条の規定により、清算が結了したときは、清算株式会社の場合、清算人は、決算報告を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けた日(会社法第507条第3項の承認の日)から2週間以内に、その本店所在地において、清算結了の登記をしなければならないとされています。

登記事項は、清算結了年月日

添付書類は、臨時株主総会議事録(決算報告書添付) 1通
司法書士に登記を委任する場合には、委任状1通必要になります。

清算結了の登録免許税は、2,000円です。

18 税務署、県税事務所、市町村税務課に清算結了の届け出(遅滞なく)

清算結了の届け出は、解散の届け出と同じ書式です。

税務署提出に提出する書類は、異動届出書
県税事務所に提出する書類は、法人の名称変更等の報告書(名称は埼玉県の場合)
市税務担当課に提出する書類は、法人設立・変更等申告書(名称は川越市の場合)

県や市町村によっては、名称が少しずつ違いますので、事前に確認しておきましょう。

添付書類として、清算結了したことを証明する書類として、登記事項証明書(登記簿謄本、抄本)を添付します。

以上の手続きで会社が消えることになります。

 

この他にも許認可関係、社会保険関係、雇用関係等いろいろな届け出があります。

「自分の会社を閉じたい!」12回の連載で、会社の解散・清算について概略をお話してきましたが参考になったでしょうか? 

解散・清算事務を行っていると様々な問題が出来きますので、困ったときは、お一人で悩まずに、専門家に相談しましょう。

 

会社の解散・清算(11)

13 清算時貸借対照表、財産目録を作成

会社法第507条には、「清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければならない。」とありますので、債務の弁済が終わりましたら、清算結了までの費用を見込んで貸借対照表と財産目録を作成します。

清算結了までの費用は未払い計上する。
事務所の費用、残余財産分配用通信費や送金費用、株主総会開催費用、清算結了登記関係費用、租税債務等
なお、清算人の報酬が決まっていればその報酬額
これらを、債務弁済終了後の残存財産から控除したものが、残余財産になります。

退職対照表、財産目録が完成しますと、残余財産の確定となります。

14 税務署に、清算確定申告

法人税法第104条の規定により、残余財産が確定した場合には、その確定した日の翌日から1ヶ月以内に税務署長に清算確定申告を提出しなければなりません。なお、この1ヶ月以内に残余財産の最終分配が行われる場合には、その行われる前日までに提出しなければなりません。また、県税事務所、市町村税務担当課にも併せて提出します。

清算所得金額は
(残余財産の価額)−(解散時の資本金等の額+利益積立金額等)

ただし、一定のものが残余財産の価額、利益積立金額に参入されますので注意してください。(法人税法第93〜96条)

清算所得の税率は、解散した年により違いがありますが、これから解散するのであれば税率は27.1%になります。

確定申告書に添付する書類は
・貸借対照表
・財産目録
・解散の時から残余財産確定の時までの清算に関する計算書です。

15 残余財産分配

清算確定申告を済ませたら残余財産の最終分配を行います。分配は、会社法504条の規定により、株主の有する株式の数に応じて分配することになります。

次回につづく

会社の解散・清算(10)

9 債務の確定、これより清算に入る

公告期間、債権の申し出期間(官報に公告掲載した日の翌日から2ヶ月間)が終了すると債務の金額が確定します。

これより債務の弁済を進めることになります。

10 清算事務年度終了による定時株主総会開催、貸借対照表の
承認、事務報告

解散日翌日から1年後までが清算事務年度(会社法第494条第1項)となります。

清算結了が清算事務年度を越えてしまう場合には、定時株主総会を開催し、貸借対照表の承認と清算事務年度の収入支出の状況、清算事務の見通しなどについて事務報告を行います。

監査役設置会社の場合には、監査を受け、清算人会設置会社の場合には清算人会の承認を事前に受けておきます。

11 税務署に清算事業年度予納申告書提出

清算事務年度終了日より2ヶ月以内に清算事業年度予納申告書を税務署に提出します。
併せて県税事務所、市町村税務担当課にも提出します。

定時株主総会で承認を得た貸借対照表と税務署に申告する貸借対照表とは別物になります。
株主総会で承認を得る貸借対照表は、財産を清算価格で評価したものですが、税務署に申告する貸借対照表と損益計算書は、取得原価ベースで計算したもので作成する必要があるからです。
(会社が解散していないとき同じ計算方法です。若干適用にならない制度もあります。)

ただし、清算会社の場合は、中間申告は必要ないです。

上記10・11の手続きは、解散日翌日から1年以内に清算結了とならない場合です。のんびりやっているとすぐ1年過ぎてしまいますので、スケジュール見ながら粛々と手続きを進めましょう。

12 残余財産を全て現金化し、債務の弁済を行い、債務0円にする

全財産を現金化し、すべての債務の弁済を行います。

なお、債権回収ができないものが増えたり、固定資産の時価評価が過大であったり、清算事務にかかる期間が予定より長期間となり事務経費が見込み額を大きく上回った場合などには、債務の弁済に必要な現金が足りない状況もありうるので注意が必要です。
本来なら特別清算ですが、社長やその親族等からの借入金があれば、その債権を放棄してもらう方法もあります。当然、債務弁済後の残余財産は0円となり、株主への配分はありません。

すべての債務の弁済が終了した段階で、残余財産が残っていれば、株主に分配が可能となります

次回につづく

会社の解散・清算(9)

7 臨時株主総会開催、解散時までの決算の承認を得る

解散日後遅滞なく、臨時株主総会を開催し、貸借対照表と財産目録の承認を得ることになっています。(会社法第492条3項)

しかし、解散確定申告書の提出期限が解散後2ヶ月以内となっておりますので、それまでには貸借対照表と財産目録は当然作成していなければなりませんので、申告の時期までには臨時株主総会も開催できると思います。

総会通知は原則として2週間前までに発送しなければなりませんがこの通知には貸借対照表と財産目録を添付を特に求められてはおりませんので、完成の見通しがついたら臨時株主総会の開催の手配をしましょう。

解散時までの決算の承認は、普通議決でokです。
総会が終わりましたら、議事録を作成します。

なお、清算人会を設けた場合には、先に清算人会の承認を得ておく必要があります。また、清算人会の議事録もきちんと残しておきましょう。

8 税務署に解散確定申告(解散後2ヶ月以内)

承認を得たら、計算書類を基に解散確定申告書を作成し、税務署に提出します。

確定申告書には、貸借対照表の他、損益計算書、株主資本等変動計算書及び勘定科目内訳明細書を添付する必要があります。
会社法で清算人に義務づけられているのは、財産目録と貸借対照表だけですが、これらの書類も別途作成します。

併せて県税事務所、市町村税務担当課にも提出します。

なお、確定申告書を作成するに当たって、減価償却の計算、繰延資産の損金算入限度額の計算など通常の事業年度確定申告の時と違うところや、適用できない特別償却があったりしますので注意が必要です。

難しいと思ったら費用はかかりますが、税理士にお願いした方が無難です。(確定申告書作成代理は、税理士業務です。)
自分でやるには解散・清算に関する税務の本でちょっとお勉強が必要かもしれませんね。

解散を検討しているときに既に債務超過になるかどうか見当がつきますが、そのときわからなくても、財産の状況調査を行っている段階で、はっきりしてきます。

債務超過で債務の弁済ができないような場合には、特別清算に切り替えなければなりません。

また、通常清算手続きでは不正が行われそうだといった特別な場合にも特別清算手続きとすることができます。

ただし、この特別清算手続きができるのは株式会社のみで、特例有限会社は対象となりません。

ここでは、通常清算の場合を扱っていますので、特別清算については別の機会に譲ることにします。

次回につづく

会社の解散・清算(8)

6−1 解散時までの貸借対照表、財産目録を作成する

清算人は、解散および清算人就任の登記と併行して、会社の財産状況を調査し、財産目録と貸借対照表の作成を進めなければなりません。(会社法第492条)

調査といっても特別なことをするわけではありません。
毎期毎に行ってきた決算の計算書類を作ると思ってください。

ここで対象としているのは、株式会社または特例有限会社ですから、事業年度終了ごとに必ず決算をやってきたはずです。
解散の場合は、期首から解散の日までが事業年度となります。

1)財産目録

財産目録の作成については、会社法施行規則第144条に定められています。
3項に、区分表示の仕方が定められています。資産・負債・正味資産の3つに分け、さらに内容を示すに適当な名称つけた項目に細分化することができるとされています。

2項に、計上すべき財産については、処分価格を付することが困難な場合を除き、解散日における処分価格を付することになっています。

清算会社は、財産目録に付された価格を取得価格とみなすことが記載されています。

では、処分価格はどう計算するのか? 会社法では、特に定めはありませんので、悩むところです。

例えば
・預金:解散日までの利息を計算し未収入金計上。

・売掛金:貸し倒れ見込額及び取り立て費用を控除した額。

・貸付金:解散日までの利息を未収入金計上。

・棚卸資産:売却可能であれば可能額から売却費用を控除した額。

・有価証券:処分可能額から処分費用を控除した額。

・前払費用、仮払金:契約が解除になることによって、現金が回収できる部分がある場合には、未収入金に計上。それ以外は0評価。

・固定資産:処分可能額から処分費用を控除した額。土地の場合公示価格や近傍取引価格を参考に算出した価格から処分費用を控除した額。更地にして処分する場合は解体処分費用を控除した額。

・無形固定資産:ほとんどのものが0評価、処分できるものがあれば処分可能額から処分費用を控除した額。

・未払金:清算結了までの事務経費、リース解除に伴う違約金、借入金の解散日までの利息、解散日までの期間にかかる所得金額に対する法人税、住民税、事業税など未払金に計上する。

などです。

2)貸借対照表

生産開始時の貸借対照表については、会社法施行規則第145条で定めています。貸借対照表は、144条で定めた方法で作成した財産目録を基に作成しなければなりません。(会社法施行規則第145条2項)

区分表示は、資産、負債、純資産とし、さらに内容を示すに適当な名称つけた項目に細分化することができるとされています。(会社法施行規則第145条3項)

なお、処分価格を付することが困難な資産については、注記にその財産の評価方法を記する必要があります。(会社法施行規則第145条4項)

ということで、財産目録を作成するときの評価の仕方が、いかに正確にできるかということです。
 

6−2 債権の回収を進める

さて、解散が決まったら、債権回収をどんどん進めましょう。

債務の弁済は、公告期間が終了し債務が確定するまで、原則として弁済を進めることができませんが、債権の回収については、随時行うことができます。

次回につづく。

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